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体重コントロールが難しい透析患者への看護師として、対応を考える!

Nurse LIFE
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こんにちは、ひとぅみです。

皆さんはもともと肥満体型で透析治療のたびに、体重がDWよりかなり増加する患者さんへの助言や指導に困った経験はありませんか?

体重計のイラスト メタボリック・肥満のイラスト「体重計・男性」 ナースキャップのない女性看護師のイラスト「驚き」

ちなみに、もとから標準体型患者さんで一時的に食欲が増した体重増加なら良いのです。

しかし、肥満体型患者さんの場合の体重増加だと様々な問題が生じます。

よって、「できれば適切な体重増加にコントロールしてほしいな」というのが看護師の思いだと思います。

でも実際は

悩める看護師
悩める看護師

この人にどんな声かけ(助言や指導)をしたら、この人にとって良いのだろう?

と悩むのではないかなと思います。

ひとぅみ
ひとぅみ

私は看護師という立場からの患者さんにとって良い助言や指導ができたらなと思っていました。

でも、忙しさにかまけて良い助言や指導ができるだけの知識や技術を学べないでいました。

そこで今回は「体重コントロールが難しい患者への看護師としての対応」について、調べた結果をまとめてみたいと思います。

体重コントロールについて

体重コントロールの基準

一般的に体重管理の基準は、透析間の体重増加のめやすとして以下のように言われています。

中1日でDWの3%未満、中2日でDWの6%未満

例)月・水・金の透析患者で体重50㎏の場合
・中1日でDWの3%未満は、体重増加量が1.5㎏未満(51.5㎏未満)ならOK!
・中2日でDWの6%未満は、体重増加量が3㎏未満(53㎏未満)ならOK!
 

体重コントロールしないと、どうなのか

体重コントールできないとどうなるのかについては何冊かの書籍で「予後不良となります」と記載がありました。

ひとぅみ
ひとぅみ

予後不良って具体的に何よ!

私は予後不良という結論では納得いかないので、もう少し掘って調べてみました。

ラーさん
ラーさん

調べてみたよ!これでどうかな?

一般的な透析患者さんの体重増加は、体内に水分が多くある溢水状態といえます。

体内に水分が多くあると、大きく分けて2つの合併症が起こりやすくなります。

①透析中に血圧低下しやすくなる

体内に水分が多いと、透析の除水量はその分多くなります。

それは、除水量は、透析前体重ーDWで決まるからです。

透析での除水量が多くなると、その分体内から水分を抜くことになります。

体内の水分を抜くということは、同時に血管内の水分も抜くことになります。

血管内の水分が抜けると、血管の圧が下がります。つまり、血圧が低下することになります。

つまり、除水量が多いことは血圧低下につながるといえます。

②血圧上昇による心臓や腎臓に負荷がかかる

体内に水分が多い状態は、血管内に水分(血流)が多い状態ともいえるため、血圧は上がります。

普段から体重増加(水分が多い状態)だと、普段の血圧が高い場合が多いです。

血圧が高い状態が続くと心臓、特に腎臓への負荷は腎機能の低下に繋がりさらなる血圧上昇という悪循環になりやすくなります。

そもそも、血圧が高い状態は各臓器の血管へのダメージにもつながるため放っておけないだと思います。

参考資料:透析専門医が教える透析ブログ 透析を始めたら、体重管理が重要!毎日体重をチェックするのはなぜ?

上記のことから、予後不良と言っていたことが分かりました!

体重コントロールができない原因と対応について

情報収集~患者さんの会話に耳を澄ませて~

まずは、体重コントロールできない原因検索には、患者さんからの情報収集が必要です。

情報収集のポイントは「患者さんの普段の会話に耳を澄ませること」だと思います。

突然看護師が、知りたい情報だけを尋問のように聴いてしまうことは、患者さんが身構えて、適切な情報収集にならない可能性があります。

よって、普段の何気ない会話が情報収集の場だと意識して行動することが大切です。

情報収集の内容は?※1

①生活行動パターン・食生活リズム
 就業状況、食事の回数や時間帯、自炊か外食か、誰とどのような環境でとるのか
②調理者・介護者
 誰が作るのか、食事に介助が必要か
③嗜好
 味付け、好み(パン、麺類、米飯など)
④口腔・歯の状態
 義歯が入っているか、噛み合わせの状態、口内炎の有無、舌の乾燥状態、嚥下状態など
⑤排便状況
 回数、性状、ストーマの有無
⑥服薬状況
 消化器症状などの副作用の確認、下剤の服薬状況
⑦合併症の有無
 合併症により食事行動が制限されていないか
⑧食事指導歴
 保存期や導入時の食事指導の内容、ほかの疾患(糖尿病・肝炎など)の治療で食事指導を受けたことがあるか
⑨最近、何か変わったことはないか
 イベント(旅行・会食など)の有無、ストレスの有無(心配・不安なこと等)
 

なぜ、体重コントロールができないか?どうしてダメなの?どうしたら良いの?

患者さんが体重コントールができない理由をケース別に挙げて、そのままの状態ではダメな理由、それに対する対策までまとめてみたいと思います。

CASE1 塩分過多の食習慣を変えられない

透析患者さんは、多くが中高年から高齢者の方です。

中高年や高齢者の食習慣は、長年の生活で形成されたもので、変えることは難しいといえます。

特に塩分に関しては、もともと日本人は塩分摂取量が多いです。そこへ加齢による味覚の低下により本人の自覚なく、より塩分過多になりやすいです。

ラーさん
ラーさん

日本人が好む料理の多くは、醤油・塩・味噌といった塩分を多く含む調味料を使用しているから、どうしても塩分過多になりやすいよね。

塩分コントロールと体重コントロールの関係性※2

適切な塩分コントロールは、体重コントロールにおいてとても重要です。
なぜなら、私たちの体内の塩分はNaとClとして存在し、体重や身長に違いがあってもNa濃度は常に140mEq(塩分約8.2/L)で保たれています。
そのため、塩分を多く摂取すると身体はその分を水で薄めようとします。
具体例を挙げると、無尿患者さんが塩分8.2g摂取すると、1Lの水が必要になります。つまり、体重も1㎏増加することになります。
したがって、適切な塩分コントロールは過剰な水分摂取を防ぎ、体重コントロールにつながるといえます。

よって、体重コントロールのためには塩分コントロールが大切なことが分かりました。

具体的な塩分コントロールの方法としては、以下のようになります。

塩分を意識した食生活にする                      
自分で食事を作る場合には、使用する塩分量が多くならないように調整し、買った食品では食品成分表で塩分量を確認する、外食では可能なら味付けを薄くするように頼んでみるなどの行動変容を促すことが必要だと思います。

CASE2 自分で食事を作らない・作れない

現代はコンビニエンスストアやスーパーマーケットの充実、外食産業の増加により、自分で食事を作らない・作れない場合も、いつでも手軽に食事できるようになりました。

特に男性や一人暮らしの高齢者は、食事を買ったものや外食で済ますことが多いように感じます。

しかし、買った総菜や弁当、外食等での食事は全体的な量は多く、味付けは濃く、脂肪が多く、野菜が少ないことが特徴です。

全体的な量が多いと、食べ過ぎで体重増加につながります。

また味付けが濃く脂肪が多い、野菜も少ないことも栄養バランスが偏りやすく、塩分・脂肪過による体重増加につながります。

よって、体重コントロールにおいて、買ったものや外食で食事を済ますことが多い場合には工夫が必要になります。

具体的な工夫は、以下のようになります。

1.自分で塩分の加減が可能なメニューを選ぶ※3

丼物(かつ丼・親子丼・天丼・中華丼)はすでに調理されているため、食塩調整がしづらいです。
そのため、丼ものより定食を選ぶように勧めることが必要です。
定食を食べる際には、主菜に調味料をかける時はその量を少なくすること、漬物を残すこと、みそ汁は具材だけたべて、汁は1口か2口にすることが挙げられます。
2.麺類の汁は残す
麺類(ラーメンやうどん等)の汁には多くの塩分が含まれています。そのため、麺類の汁は残すこと、麺類を食べる場合にはつけめんやもりそばなどの汁をつけて食べられる麺類を選ぶことを勧めることが必要です。
3.鍋料理は塩分・水分が多いため、調整が必要
鍋物(すき焼き・水炊き・ちゃんこ鍋・おでん)は塩分が多いだけでなく、水分も多いです。どうしても食べる場合は1日の中で塩分・水分の調整をするように伝える必要があります。
 
 

CASE3 周りの誘惑に負けてしまう

現代は、美味しい食べ物が簡単に安く手に入りやすいです。

あなたも買う気はなかったはずが、ついついコンビニでおやつを買って食べてしまったことや周りの人が食べていた美味しそうな物を一緒に食べてしまった経験はあると思います。

また間食以外の旅行や会食などのイベントごとも、ついつい食べ過ぎてしまう原因になりやすいと思います。

つまり、それだけ透析患者さんへの食べ物に関する誘惑は多いといえます。

ダメなのは分っているけど、

ついつい食べちゃったのよね。

よって、具体的な方法としては以下のようになります。透析患者さんが誘惑に負けないよう家族や周囲の方にも配慮や協力を求めることが必要になります。

家族や友人などの周りの方へ配慮や協力が必要              
患者さんと一緒に家族や友人も間食や旅行での食事や会食について見直しや改善できることはないか考えてみることから始めてみるなどが良いのではないかと思います。
 

CASE4 摂取エネルギーを消費できていない

人は摂取エネルギーが丁度よく消費できないと太ってしまいます。

現代は、便利移動手段やものが増えたことで、運動不足になり、摂取エネルギー分を消費することが難しくなったと思います。

しかし、適度な運動は健康において大切であることは透析患者さんも同じです。

でも、運動となると身構えてしまう人も多いと思うので、具体的には以下のように勧めても良いのではないか思います。

適度な運動は自宅近くへの外出は車でなく徒歩にしてみる、施設内ではエレベーターやエスカレーターを使用せずに階段を使用する方法があります。
わざわざ運動の時間を取ることなく、生活の中で患者さんができる範囲から身体を動かす習慣が大切だと思います

今回の記事の出典元の書籍です。他にも為になることが沢山書いてあります。

透析看護に興味がある方はぜひ、読んでみてください!

まとめ

今回は「体重コントロールが難しい患者への看護師としての対応」を調べた結果をまとめてお伝えしました。

上記で挙げた具体例や対応はあくまで、ごく一部です。

実際は患者さん一人ひとりの背景や考え方があり、その人に合った対応を患者さんと一緒に考える姿勢が看護師として大切だと改めて学ぶ機会となりました。

みなさんも、個別性にあった看護は看護師の悩みの種だと思いますが、患者さんがよりよい生活を送れるように一緒に頑張りましょう!

では、また★

出典元

※1  高崎美幸,患者さんの悩みをナースが支える透析患者の食事ガイドーマンガと事例でキホンがわかる!,p86.

※2 高崎美幸,患者さんの悩みをナースが支える透析患者の食事ガイドーマンガと事例でキホンがわかる!,p18.

※3 高崎美幸,患者さんの悩みをナースが支える透析患者の食事ガイドーマンガと事例でキホンがわかる!,p148

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